飼育委託ボランティア
飼育委託ボランティアは、親犬となる繁殖犬・盲導犬候補の子犬・盲導犬を引退した犬たちを、ご家庭で飼育いただくボランティアの皆さんです。当協会では次の条件で各飼育ボランティアを随時募集しております。また、適性評価の結果、盲導犬にならなかった犬たちを引き取っていただけるご家庭も募集しております。興味関心のある方はお気軽に当協会までお問合せください。
繁殖犬飼育委託ボランティア
盲導犬のお父さん犬、お母さん犬をご家庭で飼育していただくボランティアです。お母さん犬を飼育していただくご家庭では、子犬出産の際のお手伝いや子犬たちの健康管理などもお願いしています。
主な委託条件
・札幌市、石狩市、江別市、北広島市にお住いのご家庭
・室内にて飼育ができるご家庭
・犬との移動が自由にできるよう自家用車をお持ちのご家庭
・犬の飼育管理可能な方が、常時在宅のご家庭
・基本的に他の犬を飼育していないご家庭
繁殖犬との暮らし
〈繁殖犬飼育委託ボランティア/瀬尾さん/あんず号・カルラ号〉
現在、引退繁殖犬の『あんず』と繁殖犬の『カルラ』の飼育ボランティアをしています。初めはパピーウォーカーを希望していたのですが、その時は希望者が多く繁殖犬飼育委託ボランティアであればすぐに委託できる犬がいると紹介されて迎え入れたのがあんずです。
大型犬の飼育経験が無く不安もありましたが、あんずは人が大好きでとても優しく大人しい性格なので安心しました。子供がイタズラして叱られている時には「やめて、叱らないで!」と言わんばかりに止めに入ったり、泣いているとそばに飛んで行って顔を舐めて慰めてくれたりもします。私が体調不良で寝込んだ時は、何時間も寄り添ってくれてそばから離れないなどとにかく優しい犬です。カルラはあんずが産んだ子で、繁殖犬に選ばれたと伺って、ちょうどあんずが繁殖犬を引退する年齢だったこともあり、引き続き繁殖犬飼育委託ボランティアとして迎え入れました。優しくておとなしいところがあんずに似ていて、従順で賢く人が大好きで、子供たちとも仲良しです。
盲導犬候補の子犬の出産のお世話ができることは素晴らしいことだと思います。これまでに何度か出産にも立ち会いましたが、難産で時間がかかり徹夜になったり、帝王切開になったこともありました。比較的安産だった時でも、逆子だったり、庭で出産したりと色々なことがありましたが、2頭とも母性があり、愛情深く子育てをします。誰に教わったわけでもないのに、子犬たちへの授乳、排泄処理などを不眠不休で甲斐甲斐しくお世話するので、すごいなぁと思い感動しました。母犬の飼育は、発情期の時期にお散歩で周囲への配慮が必要だったり、気軽にお出かけできなくなることが少し大変なこともあります。それでも私たち家族は、2頭の繁殖犬飼育委託ボランティアを通して、素敵な家族と出会うことができたので、その繋がりや絆にも感謝しています。
あんずは繁殖犬を引退しましたが、カルラはこれからも何度か出産すると思うので、可愛いパピー達をパピーウォーカーさんにバトンタッチできるよう、出産と子育てをサポートしていきたいですし、産まれてきたパピー達には盲導犬になってもならなくても、人間の良きパートナーとしていつまでも元気で幸せに暮らしてほしいと心から願っています。
パピーウォーカー
「人にやさしい盲導犬」を育成するために、盲導犬候補の可愛い子犬を生後50日から約1年間、ご家庭で愛情豊かに飼育いただくボランティアです。
主な委託条件
・札幌市近郊【札幌市、石狩市(厚田区・浜益区を除く)、当別町(北部を除く)、新篠津村、江別市、岩見沢市、三笠市、美唄市、北広島市、南幌町、長沼町、由仁町、栗山町、恵庭市、千歳市、小樽市、苫小牧市】及び旭川市近郊【旭川市、当麻町、比布町、鷹栖町、東神楽町、東川町、美瑛町、深川市】にお住いの方
※上記の地域でも「札幌市及び旭川市」を基準に遠方の場合はお断りする場合があります。
・室内にて飼育ができる方
・犬との移動が自由にできるよう自家用車をお持ちの方
・長時間留守にしない方
・1~3ヶ月毎に協会で行われる「パピーウォーカー講習会」に参加していただくなど、協会の要請によって子犬を連れて来所していただける方
子犬との暮らし
〈パピーウォーカー 水上さん/ライム号〉
パピーウォーカーに申し込んだきっかけは、犬の飼育経験がなくても、講習会や家庭訪問があるので不安が少なく、子供も親も情操豊かに子犬との生活ができると思ったことと、福祉ボランティアができると思ったからです。
委託前はすごく小さな子犬をイメージしていましたが、約4kgの子犬は思っていたより大きく見えました。でも、ふわふわでコロコロしている姿は可愛い!の一言でした。
名前はパピーウォーカーが決めるのですが、頭文字のアルファベットは協会より指定されており、「L」から始まる名前で、呼びやすく聞きやすく覚えやすい名前を考え、爽やかなLime(ライム)、漢字にすると「来夢」と名付けました。
初めの頃はトイレが大変でした。排泄の仕草がないか常に見ていてもうまくいかず失敗の連続で、掃除とタオル洗いに追われる日々でしたが、トイレで成功した時はとれも嬉しかったことを覚えています。また、ワクチン接種が終わり、お散歩が解禁となった時には、初めて歩いた芝生が刺激的だったようで、クンクンしながら何かを食べてしまったのかお腹をこわしてしまい、後日病院へ行きました。診察で菌が見つかり、注射と薬の処置をしてもらいましたが治るまで心配で、その後はお散歩の度に「何も食べませんように」とハラハラしていました。
ライムは甘えっ子で、いつも家族のそばで過ごし、お尻や背中をぴったりとくっつけては家族に撫でてもらいリラックスしていますが、ベッドやソファーに乗らないなどの約束をしっかり守る真面目な一面もあります。ライムにはこれからも元気でいてくれることを一番に願っています。もし繁殖犬(お母さん犬)になったら、ライムと同じように明るく素直で元気な子犬を生んでほしいですし、盲導犬になったら、真面目な性格のライムは立派にお仕事をしてくれると思うので、ユーザーさんに愛されながら元気に活躍してほしいです。
老犬飼育委託ボランティア
お仕事を終えた犬たちに老後を穏やかに過ごしてもらえるよう、お疲れ様の気持ちを込めてご家庭で飼育していただくボランティアです。
主な委託条件
・札幌市、石狩市、江別市、北広島市、恵庭市、千歳市にお住いのご家庭
・室内にて飼育ができるご家庭
・生活の拠点が住宅の1階であるご家庭
・犬との移動が自由にできるよう自家用車をお持ちのご家庭
・犬の飼育管理可能な方が、常時在宅のご家庭
・基本的に他の犬を飼育していないご家庭
・いずれ訪れるイヌの介護に備え、家族全員の理解と協力が得られているご家庭
老犬との暮らし
〈老犬飼育委託ボランティア 久保秋さん/タルト号〉
数年前に飼っていた犬を亡くし、もうあの悲しい思いは二度としたくはないと思っていたのですが、子ども達がいつも「犬が欲しい」と話していてまた犬のいる優しい時間を経験させたいと思うようになり、せっかく犬を飼うなら何かお役に立つことが出来ればと老犬飼育委託ボランティアに申し込みしました。
初めて老犬ホームに面会に行ったとき、他の犬達がわぁーっと駆け寄ってきてくれる中で1頭だけ群れをなさず遠くからジッとこちらを見ていたのがタルトでした。 数回会いに行く中でも常に独特のオーラを放ち、警戒心の強い犬だという印象がありましたが、家ではとても穏やかで、理解力や行動も人間の子と暮らしているようです。普段から吠えることはありませんが、寝言で低い声で吠えたり、チャイムの音に反応して一声小さく吠えて走っていく姿、また、朝は「オウオウ」とオットセイのような鳴き声で「おはよう」と体をぴったりくっつけてくるところなど、控えめな主張がとても愛らしいです。以前、湖に遊びに行ったときには、犬を亡くされたばかりの女性が涙ながらに話をし、自然とタルトを抱きしめたことがあったのですが、タルトは黙って受け入れ、遠くを見つめながらしばらくそのままでいる姿にそっと寄り添ってくれる包容力を感じました。
老犬飼育委託ボランティアをする中で、大変だと感じたことはありません。体調など心配なことがある時には、協会の方々が丁寧に対応してくれるので、安心してボランティア生活を送ることができています。むしろ一つ一つの仕草がかわいらしく、私達にたくさんの刺激と癒しを与えてくれるタルトが我が家に来てくれたことに感謝しています。
タルトは車に乗ってお出かけすることを喜ぶので、今後も公園やキャンプなどたくさんの場所に一緒に行きたいです。私は犬の経絡マッサージも習得したので、これからもタルトが元気に陽気に長生きしてくれるよう、家族の時間を大切に過ごしていきたいと思います。
キャリアチェンジ犬引取り
盲導犬を育成する中で、適性評価の結果盲導犬にならなかった犬を、家族の一員として迎え入れていただくご家庭を募集しています。
〈主な引取り条件〉
・引き取る前に当協会まで犬に面会に来ていただける方
・室内で飼育していただける方
・日中の排泄の管理が可能な方
・繁殖を目的としていない方(すべての犬は避妊・去勢手術を行っております)
・これまでの医療費や経費として、5万円を負担していただける方
※多くの犬たちは、盲導犬としての訓練はしていません。